投稿日時:2018年4月27日
噂の補助金『処遇改善手当』で保育士の給料は上がる?
保育の現場では人材不足が叫ばれて久しく、国はその状況を打破すべくいろいろな政策を打ち出しています。
保育士の給与アップを目指して出されている「処遇改善手当」もそのうちのひとつです。
この記事では「この手当によって実際に保育士の待遇は変わったのか」「そもそもこの手当はどういった人が対象なのか」などについて詳しく見ていきましょう。
保育士の給与って他の仕事より低いの?
保育士免許は国家資格であり、取得するためには「資格試験に合格するか」「専門学校や大学などで指定の課程を修了する」必要があります。
そのような特別なスキルや知識が求められる専門職でありながら、給与が低いとしばしばいわれているのが保育士です。
「仕事内容に見合った給与が支払われない」ことが、保育士の人材不足を招いていると考えられています。
保育士が足りないといくら保育園があっても子どもたちを受け入れることができません。
待機児童問題の解決のためにも、保育士の処遇改善は喫緊の課題といえるでしょう。
実際、20~40代の保育士を対象としたアンケートによれば、20代保育士の平均年収は273万円、30代で275万円、40代でも331万円となっています。
これに対し全国平均は20代で304.5万円、30代が418万円、40代は477万円ですので、平均的に見れば他の仕事より給与が低いと認めざるをえません。
政府施策の『処遇改善手当』の内容
「処遇改善手当」は、そんな保育士の給与状況を改善するために国から出された施策です。
国から園に対して補助金を出し、それによって保育士の給与増額を目指す内容になっています。
2013年に始まり、初年度は2012年と比較して約3%、翌年は約5%、2015年は約7%の改善を実施したと内閣府は発表しています。
2017年には全職員に関して2%の改善がされたとの発表があり、この手当によって保育士の待遇は少しずつ変わってきているといえるのではないでしょうか。
また、それに加えて2017年からはスキルや経験に応じて処遇改善を行う制度も導入されており、最大で月4万円ほどの給与アップが見込まれています。
給与の上がる対象者の条件は?
具体的には、「副主任保育士」「専門リーダー」そして「職務分野別リーダー」という役職が新たに作られ、この役職に就いている人に対し役職手当が支給されるようになりました。
副主任保育士と専門リーダーには月額4万円が、職務分野別リーダーには月額5,000円がそれぞれ支給されます。
金額に開きがありますが、副主任保育士と専門リーダーになるにはそれぞれいくつかの要件を満たさなければなりません。
まず、両方とも「勤続年数が7年以上であること」「職務分野別リーダーを経験していること」が共通の要件です。
そして、副主任保育士の場合は8種類あるうちのキャリアアップ研修のうち、マネジメントに加えて3種類の研修分野を修了していることが必要になります。
専門リーダーの場合は内容に決まりはなく、8種類のうち4種類の研修を終えていることが要件です。
保育士不足解消の決め手になる?
このように、役職別の手当が導入されたことにより自分の努力次第で給与アップが目指せるようになりました。
また、この制度が導入された背景には潜在保育士の存在があるのです。
潜在保育士とは、保育士の資格を持っているにも関わらず何らかの理由で保育現場から離れてしまっている人のことを指します。
退職の理由は人によって、さまざまですが、給与面での不満は大きな理由のひとつです。
平均給与を見て分かる通り、ベテランになっても大幅な給与アップが見込めず、そのことに不安や不満を覚える人が少なくありません。
そういった人の現場復帰を促すため、能力や経験に応じて待遇が改善されるような仕組みが新たに設けられました。
結局どれくらいアップするの?
このようにさまざまな方法で給与アップが目指されていますが、実際にどれほどもらえるかは園によって異なります。
なぜなら、国から支給される処遇改善手当は保育士ひとりひとりに対してではなく、園に一括して支払われ、その分配方法は経営者の判断で決められることになっているからです。
園によっては月給に加えるのではなく賞与に上乗せしたり、残業代として支払われていたりすることもあります。
また、必ずしも保育士に分配する必要もなく、設備費として使われたり役員への臨時ボーナスに使われたりするケースもありえなくはないのです。
そのため、なかなか給与アップを実感できないこともあるでしょう。
保育士の給与アップのためのお金が他の用途に使われることはおかしな話です。
こういったケースを防ぐために、独自の制度を作り手当を支給している自治体もあります。
自分の処遇に不満があり、それがなかなか改善されないと感じるのであれば、そういった自治体の保育園への転職を考えてみてもいいかもしれませんね。